関西セミ事情 〜7月下旬
関西(といっても主に京都南部周辺)のセミ事情について書きます。
セミに興味を持ってから25年。京都南部で普通に生活してて感じたセミ事情を纏めました。
基本的に市街地やその周辺の平地での情報です。
○4月下旬〜5月下旬
マツ林でハルゼミが鳴く。平地にマツ林はほぼないので山地に行かないと鳴いていません。
京都御所にいるのかもしれませんが私は聞いたことありません。
○6月上旬〜
ハルゼミはほぼいなくなる。
700m以上の山地(琵琶湖バレイや京都北山のブナ林。比叡山にはいません)ではエゾハルが鳴き始める。
○6月下旬
ニイニイ出現。まれにアブラやクマも鳴き始めます。エゾハルは最盛期。
○7月上旬
ニイニイの数が増える。アブラもたまに鳴く。
クマは鳴き始めて次第に数が増える。
エゾハルはまだまだ数多いが、猛暑日が多い年だとかなり数が減ったりする。
○7月中旬
ニイニイは盛んに鳴くが数が増えたクマの鳴き声に消され鳴き声が聞きにくくなる。
アブラも数が増えてくる。山地の森林に行くとヒグラシがそこそこ鳴いている。
エゾハルが少なくなる。
500m以上の山ではエゾゼミ鳴き始める。
比叡山や愛宕山、北山には普通にいますが、音羽山や鷲峰山にはいない。私の経験上鳴いていませんでした。
○7月下旬
クマ最盛期。市内どこにでもいる。民家の木や街路樹など。午前中はガンガン鳴きまくり、一つの木に10匹以上いることも多い。主に枝先で鳴いていて、鳴き終わると飛んで違う枝に止まって鳴くのを繰り返す。昼過ぎからは昼寝するので低い位置にいるクマは手で簡単に捕まえれる。クマが鳴きやんだらニイニイとアブラの鳴き声が聞こえてくる。(ニイニイは朝から頑張って鳴いてるけどクマのせいでほぼ聞こえない)
たまにツクツクが鳴き始める。夕方にクマはまた少し鳴きます。
ニイニイは電灯の近くだと夜中もずっと鳴いています。
山沿い、山地ではミンミンが鳴き始め、ヒグラシは数が増える。日中も薄暗いとこではずっと鳴いている。ミンミンヒグラシは標高は関係なく山沿いの森林(市街地より涼しいとこ)
一旦区切ります。続きはまた書きます。
関西圏セミ情報_③ヒメハルゼミ
久々の投稿となりました。
今回はヒメハルゼミについて書きます。
このセミは長年追い続けてますが、一度しか捕まえたことがありません。
③ヒメハルゼミ レア度★★☆
※レア度は関西での度合いです。
出現時期 : 6月下旬〜8月上旬
一時期に集中して出現します。
鳴き声 :カラカラカラギュイーンギュイーン
カラカラはハルゼミに似てます、
なんとなくハルゼミとエゾハルゼミの間のような鳴き声です。静かだった森が1匹鳴き出すと合唱になり森全体がザワついた感じになります。初めて聞いた時はめちゃめちゃ驚きました。時間帯によって鳴く頻度は変わります。日没前後に特によく鳴きます。
合唱になるとなんかもうわけわからん状態になってセミを探すのがかなり困難になります。うるさすぎて個体の特定が難しいです。
このセミは探す時は最低でも30分くらいはその場所で鳴くのも待たないといけません。
生態 : 原始林など照葉樹林の鬱蒼とした森にいます。カシやシイ林にいます。他のセミと違い生息地が点になっていて、いそうな場所でもいない事が多いです。基本的に大昔から大切にされている照葉樹林にいるので、関西圏だと社寺林にいる事が多いです。集団性が強くあり、生息域を広めることも無いようです。
地方では貴重なセミになっていて天然記念物になっていることもあります。
生息地 :本州(新潟県が北限)、四国、九州
大切にされている照葉樹林にいる為、無人島などにあることもあります。敦賀の御神島など。
関西だと淡路島に多く和歌山など温かい地方には出現場所が多いです。
具体的な生息地(下名の経験)
ヒメハルゼミがいることで有名なお寺
これまで5年ほどかけて何回も採りに行きましたが、木が大きすぎて高い所にいる事が多く捕獲できた事はありません。でもめちゃくちゃいます。観察時は住職の方に許可をもらった方がいいと思います。境内をかなり歩くことになるので。抜け殻はあまり見つからないので裏の山が生息地かも知れません。
原始林が広がっており広範囲にヒメハルゼミが生息しています。
19年7月21日夕方に観察。若草山の駐車場から山を降りて観察。日没が近づくにつれたくさん鳴いていましたが、枝先に近いところで鳴いているものばかりで捕まえられず。
21年7月23日夕方に観察。それなりに鳴いていましたが、ヒグラシがうるさくヒメハルゼミを探すのは困難でした。ヒグラシが鳴く時期より前に観察する方が見つけやすいです。盛んに鳴く時間はヒグラシと重なるので。。。
21年7月10日16時〜17時ごろに観察。
1時間の間に5,6回合唱していました。
神社前の林で蜘蛛の巣に引っかかっていた個体を奇跡的に捕獲。初めてのヒメハルゼミです。
いそうだと思い観察に行ったがいなかったとこ
・松尾大社の裏山
→カシやシイの原始林がありますが、30分粘るも鳴き声聞こえず。。。
↓めちゃめちゃいそうな森(個人的な感想)
言わずと知れた原生林がある場所。
21年7月22日18〜19時ごろ観察。鳴き声は聞こえず。アブラ、ニイニイ、ヒグラシが鳴いていました。
ここにも社寺林がありシイ林がある。どちらも7月下旬の夕方に観察したが、鳴き声は聞こえない。
京都府のレッドデータブックに照葉樹林の保護リストが記載されているので、ヒメハルゼミがある場所はこの場所とリンクされている事が多いです。ヒメハルゼミが発見されていない場所を徐々に調査していこうと思います。
関西圏セミ情報_②エゾハルゼミ
今回はエゾハルゼミについて書きます。
初めて鳴き声を聞いた時は衝撃を受けました。知っていないとセミと分からないと思います。
②エゾハルゼミ レア度★★★
出現時期:5月中旬~7月下旬 場所によって異なります。
関西圏の山では7月に多い気がします。
鳴き声 :ミョーキン、ミョーキン、ケケケケケケ
ゆっくり2~3回程ミョーキンを繰り返した後、ケケケケケケになります。
ケケケケケケはヒグラシに結構似ています。
一日中鳴いていますが、気温が低いと鳴きません。
生態 :ブナなど自然度が高い広葉樹林にいます。
ヒグラシを少し小さくした大きさで、体の色は少し緑で綺麗です。
いる場所にはめちゃめちゃいます。結構簡単に捕まえられます。
北海道では少し森に行けばたくさんこのセミがいます。
羊ヶ丘展望台とか近隣の公園とか。森林性のセミなので街中にはいないようです。
西日本では700~1500mくらいの山にいます。
生息地 :北海道、本州、四国、九州
北海道ではメジャーなセミだと思います。(羨ましい)
具体的な生息地(私の経験や情報収集が基ネタ)
・長野県飯田市 中学修学旅行の際、近隣の山からエゾハルゼミの鳴き声が聞こえました。市街地から少し山に行ったところで鳴いていたのでかなり驚きました。
・白馬グリーンスポーツの森 ハルゼミの記事でも記載していますが、川を挟んだ雑木林で無数に鳴いていました。(確か6月上旬頃)
・琵琶湖バレイ 家から近いのでよく行っていますが、スキー場脇の森で無数に鳴いています。個体数も多く、捕獲が簡単で、20匹くらい捕まえたこともあります。
以下訪問時期とコメント
*05年6月中旬 気温が低かったためか、鳴き声が聞こえず、抜け殻の確認のみ。
*08年8月上旬 ヒグラシが多かったが、数匹の鳴き声を確認。声に元気はなかった。
*09年7月上旬 無数に鳴いており20匹程度捕獲。
*18年7月21日 この夏が熱すぎたせい?か、数匹鳴く程度でエゾゼミやヒグラシ、コエゾゼミが鳴いていた。自然観察員の方曰く、通年より2週間早くセミが入れ替わっているとのこと。
・御在所岳 19年7月14日訪問。900m付近から無数に鳴いており大合唱。頂上付近で10匹程捕獲。午前中は霧の中でも鳴いていたが、午後になり気温が下がると全く鳴かなくなった。
・伊吹山 7月下旬登山の際、6合目あたりから山頂に掛けて鳴き声を確認。
確認出来ていないが、上記結果より滋賀県の1000m程度の山には生息していると考えられる。
20年6/21 山頂付近のブナ林でそれなりに鳴いている。府のレッドデータブックでは大江山のみが生息地と記載されていますが皆子山にも生息しています。抜け殻もありました。周辺のブナ帯には生息していると考えられるので峰床山にもいる?
・六甲山 21年6/20訪問 山頂〜植物園にかけて観察。山頂付近でハルゼミ?らしき声確認。気温20℃程度。時々晴れていたがエゾハルゼミは鳴かない。
21年6/25訪問 山頂〜植物園にかけて観察。
22℃程度。晴天だったが、エゾハルゼミは鳴かない。生息していない模様。
→六甲山は高山だが、エゾハルゼミの好きなブナは130本程度しかなく、針葉樹がメインなのか気候(もっと寒くないとダメ?積雪が少ない?)が原因なのか生息していない模様。
・佐々里峠
21年6/20 鳴き声は聞けなかったが抜け殻確認。ここにもちゃんといました。
21年6/25 峠から美山側へ数百メートル下った場所で数匹鳴いていました。個体数
21年7/10 鳴き声確認できず。終息?
いずれにせよ峠付近の個体数はそれ程いない模様。
エゾハルゼミは、シーズンに生息している場所へ行けば捕獲出来ます。個体数が多い場所だとかなり鈍感で容易に捕まえられます。
次は5年程追い続けてますが未だに捕獲出来ていないヒメハルゼミについて書きます。
関西圏セミ情報_①ハルゼミ
子供の頃からセミが好きで、車を手にしてから、あちこちのレアなセミに会いに行っています。大学時代もセミの研究をしていました。ここ数年で出会ったセミ達(レアもの中心)を紹介します。
※記載内容は下名の経験や知識を基としています。間違いがあるかも知れませんがご了承下さい。
①ハルゼミ レア度★★☆
出現時期:4月~6月下旬(早い所では3月下旬~)
最盛期は5月
鳴き声 :カラカラギー カラカラギー
体長に似合わず大きな声で鳴きます。鳴き声はカエルに似てるかも。
上記の時期に鳴くのでセミと気付かない人が多いと思います。
合唱性がある為、一匹が鳴きだすと森全体がハルゼミの鳴き声で
うるさくなることもあります。
朝から昼にかけて鳴きます。15時以降もたまに鳴きます。
スマホでハルゼミの鳴き声を流すとつられて鳴いてくれるので、観察の際は
よくそうしています。
生態 :松林でのみ生息。松が無いと本当にハルゼミはいません。
近年松枯れが盛んになり、生息地が激減してしまっています。。。
姿が小さく、色黒な為、松の幹に同化してかなり見つけづらいです。
また晴天時にしか鳴かず、光が当たりやすい枝先にいることが多い為、
余計に見つけづらいです。
観察していると、よく枝先を歩いて移動します。この姿がめちゃめちゃ
かわいらしい。
生息地 :本州、四国、九州
北海道にはいません。北海道でハルゼミと言われているのは
エゾハルゼミのことです。
具体的な生息地(下名の経験)
・白馬グリーンスポーツの森 05年6月上旬頃中学の修学旅行ラフティングで訪れた際
松林に大量に鳴いていました。ただ樹高が高く全く姿は見つけられませんでした。
ちなみに川を挟んだ、雑木林ではエゾハルゼミが合唱しており、棲み分けされていま
した。
・京丹後 琴引浜の後背林
松林が多く、府内有数のハルゼミ生息地。見学ツアーもあるほどです。
18年6月上旬訪問:午前中訪問。無数の声が聞こえるが、樹高が比較的高く
姿は見つけづらい。。。たまたま飛来してきた♀を1頭捕獲出来たのみです。
・各地のゴルフ場 松林が多いのでよく鳴いています。
でもゴルフ場なので観察は出来ません。
グランベール京都、朝日野カントリー、メイプルヒルズゴルフ、名神竜王で
これまでに鳴き声を観察しました。(18年~20年)
・某大学の森(滋賀県)
個体数はそれほどですが、5月の晴天時に行けば数頭鳴いています。
樹高が高いので観察は困難です。
・湖南アルプス(堂山)
登山の必要がありますが、個体数多く、何より尾根に松が生えていて樹高が
かなり低いので観察にもってこいです。特に堂山山頂付近に多い印象です。
近くで鳴いている個体はほぼ全て確認出来ました。
5匹も見つけられたのはここが初めてです。
20年5/30に訪問なので来年は何度か観察しに行きたいと思います。
*20年6/7に再訪問も暑すぎたためか(30度近くあった)一匹鳴く程度で、スマホによる誘い鳴きの効果なく、発見できなかった。。。日当たりよく標高が低い山なので5月いっぱいまでの生息なのかも知れない。
長野県など標高の高い所では6月になってもいるのはこれが理由?
*21年4/30訪問時は晴天だが数匹鳴く程度
*21年5/23訪問時は登山道から合唱が聞かれ山頂付近でたくさん鳴いていた。頂上で3匹捕獲に成功。意外と鈍感で100均の虫取り網で捕獲できた。
■堂山山頂からの景色
その他
・綿向山(滋賀県) 18年5月26日11時頃 登山道6合目付近で鳴き声確認
・池田キャンプ場付近(高知県) 19年5月4日午後 数匹鳴く
次回はエゾハルゼミについて書きたいと思います。